難しくて読みにくいと聞いていて、実際に積読になっていた『ブランディングの科学』を読みました。
実証データが少ないとされてきた、ブランディングやマーケティングの実際について、理解を深めるためにも、まとめていきます。
データ抜きで語られるブランディングの誤解
ブランド力で売れている会社の代表例として、Apple社が上げられることが多い。
けれど、実際にApple製品のリピート率は、HPやDELLなどと変わらない。
Apple信者がいて、彼らに支えられているブランドだからこそ経営が盤石なような印象をもっていたが、実際はそうではなかった。
この著書のデータによると、日用品から車のブランドまで、消費者は変動的に商品を選ぶというのがわかっている。
いわゆるブランドスイッチャーがいて、ライトユーザーがいて、その両者が売り上げ半数を占めることがほとんどだ。
パレートの法則で2割の顧客が8割の利益を生むという法則は、当てはまっていない。
これまでデータ抜きに語られてきたことは、推測とイメージでしかなかったわけだ。
つまり推測で、ロイヤリティの高いカスタマーに注力をして8割の利益を確保しようとすると、5割の利益を失ってしまうことになる。
スイッチを押し間違える経営になっていまうわけだ。
「売れ続けるブランディング」というコピーもデータを考慮すれば、ロイヤリティの高い一部のカスタマーに売れ続けるということではなく、スイッチャーや一時利用者も含めて、選ばれ続けるというものである。
たしかに自身のことを考えてもApple信者ではないけれど、製品もいいし使い続けているのは、「なんとなく」ブランドイメージも悪くないし、というところである。
データからわかるブランディングのメリット
リピート率に最も影響を及ぼす要因は、「市場浸透率」だ。
つまり、どれだけ人の目に触れて市場を占有しているかが、リピートされるかを左右しているとのこと。
たしかに個人的にも、「この商品は高額でも買いたい」というブランドもあれば、よく売れているし目にする機会もあってイメージがいいから、次もそうしようかなと思うものも多い。
これだけ情報過多になってくると、情報を探して選ぶという一連の流れに認知コストがかかってくる。よく目にするブランドを使い続けることで、自分が好ましい商品を探し出し比較検討する認知コストを省ける行動をとるのは自然なことだ。
ブランディングが効果的な本当の意味
直接的な効果になりうる、「市場浸透性」を高めるためにブランディングは有効である。
すなわち、ブランディングにより「共感を得る」ことが直接的な効果をもたらすのではなく、「認知されること」がブランディングが成功することである。(共感を得ることで認知が広がるのであれば、間接要因にはなるだろう。)
差別化にばかり気をとられ、USPを作ろうとやっきになるのはもはや時代遅れである。ただ奇抜なだけでどこにもニーズのない拘りのサービスができかねない。
競合と重なるサービスであっても、購入者はブランドに拘らず買うスイッチャーと心得るべし。独自性により存在感を示していくことで、市場に認知されるようにプランしていくことが、ブランディングの使命である。
参考
わたしの解釈が違っている可能性もあるので、実際に読んでみてください。